この人どんな人?

愛知県のクリニックに勤務する理学療法士のブログ

クリニカルリーズニングについて①

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こんにちは

前回の記事はあってないようなものなので、実質今回が最初の記事になります

 

まだまだ手探りな状態なのでなんとも言えませんが、今後のブログの方針として

  • 症例ケースと自己内省( リフレクション ) 
  • クリニカルリーズニングのこと
  • 知識の整理としての用語紹介
  • etc…

大まかにはこの辺りを投稿していきたいなと思っています

所詮はどこぞのPTの独り言になりますが、興味がある方は今後ともよろしくお願いいたします笑

 

 

クリニカルリーズニング

僕の勤めるクリニックで最も重要視しているのが、このクリニカルリーズニングです。

理学療法士として働かれている方々なら、一度はこの言葉を聞いたことがあるかと思います。新人教育プログラムや参考書、自主的に参加している勉強会などなど

かくいう僕も、学生時代に母校でクリニカルリーズニングの授業を受けた身です。

 

今回はそのクリニカルリーズニングとは何か?という点を簡単にまとめたいと思います。今後もまとめていく予定なので、タイトルに①としましたのでよろしくお願いいたします

 

まずはじめに定義からいきましょう。

クリニカルリーズニングとはセラピスト自身に巧みで賢明な行動をとるように促す思考過程( Harris,1993 )

 

少しわかりにくいので、これを意訳すると

『セラピストが臨床中に何を考え、その考えと行動は本当に妥当かどうか?』

これがクリニカルリーズニングの本質だと思います。

 

そんなこと誰でもやっているよという声が聞こえてきそうですが、本当にそうでしょうか?

自信をもって自分の臨床はすべてにおいて妥当性があると言い切れるでしょうか?

 

僕に指導してくださる先輩は、臨床に特化した大学院でクリニカルリーズニングの基礎を学んできました。大学院に入ったのは臨床経験を10年ほど積んだ後です。

10年の経験を積んだ先輩でも、以下のような内容を大学院で確認・指導され、その解答に四苦八苦したそうです。

 

「なぜその立ち位置で患者さんと話をしたの?」

「なぜその質問をしようと思ったの?」

「この人どんな人なの?」

「この人は何がどうなっていて、君はどうしたいの?」

「なぜその検査を最初に選択したの?」

「なぜこの人には理学療法が必要なの?」

「根拠はそれだけ?」

 

質問内容はごく一部ですが、いかがでしょうか?

臨床中の考えだけに留まらず、立ち位置や検査の選択・順番、はては理学療法の必要性についてまで根拠を求められています。

普段の臨床では単位をこなすことに流されて見過ごしがちな点ばかりですね

 

この先生は運動器の超エキスパートであり本邦のクリニカルリーズニングの権威でもあります。この先生は、姿勢をみるだけでも仮説を10個以上は立てられるとも言っており、上記の質問に対してもポンポンと多くの理由・根拠を述べることが可能と思われます。

 

このレベルとはいかなくとも、それくらいまで思考を広げようとする態度が重要であり、そこまでして初めて理学療法士の行動は妥当性があるものになっていくといえるのではないでしょうか? 

 

一方で、いちいち細かい理由なんて考えてる暇があれば、その分治療や検査をしたほうが効率がいいのではないかと考える方もいらっしゃるかと思います。

 

もっともな意見です。

 

ですが、治療手技だけでなく検査・評価もまた患者さんに負担を強いるものです。患者さん次第では話すことすらリスクになることもあるでしょう。それらが患者さんの問題を助長してしまう可能性を検討せず、ただやみくもに手技をマシンガンのごとく実施することが本当に効率的といえるでしょうか?

 

以前僕はとある先生の勉強会に参加し、神経系の評価を学んだことがありますが、神経系の評価は非常に危険を伴うものです。下手をすれば、検査後、そのまま症状が一定時間残存しリハビリにならない可能性もあります。にも関わらず、その先生は、この手技の方法論のみに終始し、どの条件でどんな症例に対してこれらを使えばいいかを一切説明しておりませんでした。講習会の最後で、ようやく受講者から「この手技をどんなときに使えばいいのでしょうか?」という質問が出ましたが、「症状が強い人や高齢者にはやらないほうがいい」という曖昧な答えが返ってきて、非常にがっかりした記憶があります。

 

 

「誰かがいいと言った手技や評価を、疑いも理解もせず臨床で使うことは、よく切れるナイフを振り回しているようなもの」という言葉を先輩から聞いたことがありますが、まさにその通りだと思います。

ましてや、習ったものを当てはめるだけなら理学療法士でなくても他の職種にもできてしまい、単なるベルトコンベヤー式の作業にすぎなくなってしまいます。

理学療法士の数が過剰になっていくと言われ、理学療法士の専門性が問われ始めているという現代だからこそ、健全なクリニカルリーズニング( 臨床の思考力 )の必要性が求められていると思います。

 

実際にやってみると、クリニカルリーズニングは非常に難しいものです。

偉そうに書いていますが、僕もたいしたことないダメPTです。

ですが、妥当性のある行動を意識することが今後求められていく、理学療法士も選ばれる時代になっていくと考え努力していくつもりです。

 

このブログでは、健全なクリニカルリーズニングをしているかどうかということを基本としてさまざまなことをまとめていきたいと考えています。 

 

長くなったので今回はこれくらいで。

 

次回は、臨床中に思考するのに役立つ道具、仮説カテゴリーについてまとめていきたいと思います。

 

 

※追記

先輩と同じ大学院を出た方のブログとnoteがあります。

クリニカルリーズニングや徒手療法のことなどを分かりやすく説明してありますので、ぜひ覗いてみてください。

 

Manual Physio Salon AKIHA/Blog

 

徒手理学療法士@齋藤賢一『痛みnote』|note